冬夕焼
ホスピスの大きな窓や冬紅葉
巡回の若き医師団十二月
凩や日ごとに細る叔父の脛
小春日や点滴引きて談話室
ベッド起こし祝う誕辰冬薔薇
病窓の冬夕焼に集ひけり
木の匙の重湯ひと口霜の朝
死に水は酒でと笑まふ冬ぬくし
暮早し帰宅うながす細き声
ホスピスの聖樹に灯す金の星
付添のベッドの軋み寒月光
暁の病室に掻く葛湯かな
枯木星点滴二拍子で落つる
うはごとに呼ぶ妻の名や冬の闇
今生の別れカトレア胸に置く
散りやまぬ木の葉しぐれの別れかな
ふるさとに帰る御霊や山眠る
蠟梅に透く薄ら日や七七忌
冬夕焼
ホスピスの大きな窓や冬紅葉
巡回の若き医師団十二月
凩や日ごとに細る叔父の脛
小春日や点滴引きて談話室